男の修行/鵜飼千代子
 
  辿り着かなければならないところがある
  険しい道だけど

  辿り着かなければならないところがある
  人を待たせている

  幾つもの岩山を登り
  幾つもの深い谷を渡って
  辿り着かなければならないところがある

  息が切れ
  血が流れ
  へとへとになった体に鞭を打つ

  俺にはこれしかないのか
  他に道はないのか
  自分に問いながら歩き続ける

  しかし
  辿り着かなければならないところがある
  俺が行くと信じて待っている人がいる

  なぜ俺だけが
  こんな思いをしなければならないのか
  俺が俺だから この道しか
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