この土地にくらして/あすくれかおす
この土地にくらして/わたしは深く息をする
なびかない風の日も/灰色の冬もあった
草の使命とはなんだろう/道の記憶はどこだろう
この土地にくらして/わたしの炎がはしゃいでいる
見えない線路の軌跡をながめたり/藍色の壁に友人を見たりした
ゆらめくばかりが魂か/温かいだけがその熱か
ものごとはときにおかしくみえる
わたしは捩れて消えてゆく
枕のように柔らかく
川はどこまでも運ぶだろう
朝をまとう/立ち止まることもないだろう
眼差しをもって歩くこの道は/いつか平原に変わるだろう
この土地にくらして/わたしの在り処が開いてゆく
返事のいらない手紙も/見知らぬ車輪の行く音もある
自由なのだと雲が言う/祝福であると舟が言う
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