世界防衛軍/藪木二郎
 
 世界の危機に
 ある現存在が外挿された
 没入ではない
 外挿だ
 彼の被投的企投性は
 こちら側の世界にはない
 帝国が終滅する
 帝国が生成する
 彼はその
 新帝国からのエージェントだ
 そして彼の仕事
 ゴミ集め
 老人
 糞
 特権階級
 ゴミとしては当たり前過ぎるが
 そんなゴミたちの星座状況が
 彼の新帝国への階梯を指し示すのだ
 かつての死児たちのように
 あるいは
 摘出された脳髄たちのように
 たやすい仕事だろう
 ゴミはいくらだってある
 そしてそのゴミたちの結びつけ方も
 いくらだってある
 そもそも彼の侵入経路
 現代詩
 マイナーなポートだ
 彼はマイナーなエージェントだ
 サーチ終了
 転じよう
 帝国は終滅することがない
  * 多くの翻訳家の方々,特に『ヴァリス』翻訳者の方,記憶による引用ですが引用させて頂きました.有難うございました.
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