祝福/かいぶつ
羊飼いが恋する
花売りの少女に
警官がピストルと花束を
同時に突き付けている
そこに偶然、居合わせてしまった
いつも大口を叩いてばかりの
女主人の大口はさらに大口を開き、ポカン。
ドカン!と音でもなれば
感電したカエルさながら
ひっくり返るのではなかろうかという
女主人の手元からは新鮮な言葉が一匹、
水を得たように、するり。
と逃げだした
まだ青年の面影残る警官の表情は
よく整備された球技場のように
いたってスポーツマンシップを崩さない
一方、花売りの少女は恐れすら凍て付き
花器の手入れをしていた手も休止されたまま
雪の結晶を思わせる微細な心模様を
瞳
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