砂の記憶/
小川 葉
掌から零れていく
砂は一粒の記憶
思い出せば
波に洗われて
二度と現われない
小さな墓石
寄せては返す波が
足跡を消していく
やがて僕らは
指と指の隙間だけを残し
いつか見た夕日を
昨日のことのように
その隙間から見ている
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