1978-/水町綜助
た母と
停止した僕は
時間の中で
車輪の音だけを聞いて
白い空の中に黒く細く街路灯が焼け付き
ぼろぼろと崩れては何本も何本も
後ろに散って飛んでゆく
滑ってゆく世界が
うしろに流れてゆく
僕たちは停まっている
ハンカチに染み込むように
たいした違いではなかった
息遣いが聞こえていたうちは
それから
運転席はすっかり取り払われ
あなたは磁石を騙し取られ
代わりにさみしさを手に入れることになった
ある朝それはあなたの手をつよく掴んで
手のひらに載せて握らせ
そして消えてしまった
地方都市の道の上で
低いビルが作り続けられる中で
あなたはひとり立ち
今も立っていて僕はそれを見ている
遠い街から
時折手紙をよこすように
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