春がくるよ/あぐり
 



薄い陽ときみの寝息にかぶさって さみしいからと手首を噛む朝


ふすふすと眠る横顔、あごのライン、ああもう睫毛が溶けちゃう、溶けちゃう


ふたりして夜行性になった一月 春がくるよ、さよならダーリン


青くなる歯形を腕に、唇の形は胸に置いていってよ


窓際のサボテンがいう、「あの人はきみの唾液が甘いらしいよ。」


舌の裏、いたい朝にはいつもより ミルクを増やして混ぜるカフェオレ


春がくる前にきみにしがみつく 「半透明のさかなになりたい」





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