願い/まさたか
西日が差す静かな病室
貴方の寝息が途切れなく聞こえる
それでも不意に心配になって
心臓に手を当ててみて
ちゃんと生きていることを確認する
貴方は時折まぶたを開けるけれど
なにか口の中で呟いて
また
眠る
時間はさらさらと砂のように流れて
貴方の命はさらさらと指のすき間からこぼれて
巻き戻すことのできない時計のネジを持って
私は途方に暮れている
巷に溢れる恋歌は
簡単に永遠を約束してくれる
私と貴方の時間はあとどのくらい残っているのかな
数えるなんてバカらしいけれど
不安が心を蝕んでくる
桜を追い掛けて旅をしよう
花火もたくさん見に行こう
おいしい
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