すいぎんとう/フユナ
うっかり秋口に
スリップ姿で煙草を吸いに出た少女は
うっかり14歳のおとこのこに
エッチされてしまった
灰皿代わりのペットボトルを
少女は死んでも手放すまいと思った
うっかりゆらゆら立ち上がっては
ありがとうなんて言って
そのまま公園で煙草を吸った
その公園には林檎の花が咲いていて
ごつごつした木に抱き
うっかり好きなんだ
好きなんだとつぶやいて
林檎の木は
うっかりそのひとの肩幅に
そっくりの味がして
少女はどうしても
水が飲みたくなったので
うっかり煙草を捨てた水を
ごくごくと
飲んでしまった
ペットボトルはエビアンで
真緑色のスリップだった。
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