あの、連鎖/真島正人
 
君が机に腰をかける
音楽室から
ソナタが聴こえてくる
かすかな息遣いが聞こえる
誰のものだろうか?
君のものでも
僕のものでもないような気がする
ソナタは
構成が巧くいっていない
ほとんど崩れている
君は
「構築の失敗」
と舌を出す
僕は
「不定期な低音の連続」
と知ったかぶりをする
君が
スカートの裾を持ち上げるたびに
僕はドキドキして
眠れなかった
やわらかいものが
風の形をして吹いていた
音楽室は
人気のない交差点だ

緻密さが
軍備をまとい
襲撃をすると
冬枯れの井戸が
唐突に水を噴出す
僕はその噴射で目を傷めてしまって
長い局
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