私たちが見ているものは/
真島正人
私たちが見ているものは
わずかに違っている
原事実と
そこに見えるものとの差異で
私たちは
困り果てている
だが
それは嘘なのだ
私たちは
原事実をしっかりと見ている
春は夏を捕まえ
秋は夏を飲み込む
冬だけは枯れて横たわり
綿雪の絨毯を敷く
ふわふわと
形を持たないいろいろのものが
薄紫に染まりながら宙を飛ぶとき
私たちの肺は膨らむ
吸い込み
栄養を得て
また生きるために
不確かな生に縁取られた
変わらぬ明日を
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