実に面倒臭い生き物です/仁惰国堕絵師
実に面倒臭い生き物です
ミルクともヨォグルトともつかぬ雲が
蒼白い画用紙にもっさりと乗っかっているだけの空
針の匂いの突き刺さる景色はただ想像するだけで
心は常に深淵に投げ込まれてしまうのですが
その反面、墜ちるところまで落ちてしまえばいいと考えたら
なんだか清々しくもあるのです
実に面倒臭い生き物です
夏の終わりに骸を惜しげもなく晒す蝉が
車に潰されアスファルトにカンカラと張り付いているさま
何かが終わり、何かが始まる気配はただ想像するだけで
万物常に流転する感動に打ち震えたりもするのですが
その反面、回っているのではなく途切れてしまうのかもと考え
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