首輪の外れるとき/
りょう
鎖をかいくぐった
「私はどうすればいいの」
という声を後ろに流し
―自分の寂しさは
自分で乗り越えて
草陰に入り
きた道を振り返ってから
肉球がやぶけていることに
気づいた
僕は
誰の孤独も癒せない
向き合う人に
寄り添うだけ
子犬は声を殺しながら悟った
やがて思い出を確かめるように
抜け毛が飼い主に届くようになった
―元気ですか
僕は元気です
ごめんなさい
どうか
笑顔でくしゃみしてますように
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