喪に服す/朧月
 



そういえば去年の今ごろだったか
向かいのおばあちゃんが  死んだ時に
天国いきの道を教えるといった
その代わりにあんたのカラダをよこせと
言ってきたから私は あげたんだった

おばあちゃんは 信心なんかなかったのかな
手を合わすなんてよしなさいっていつも言ってた


ななめからまた攻撃された
かわした記憶が薄れてく
潔癖症の私のカラダに土がついたから
私は 私を滅ぼしそうになった
そんな風に一人で生きているつもりだった


そんなあたしの頭から声がした
おばあちゃんは ほいと言って
あたしから出て行った
あんたはだめな子だねって
ふわりと浮いてった

おばあちゃん あたしのただ一人の味方だった
おばあちゃんが


ごめんね おばあちゃん身代わりになってくれて
あたし やっぱりがんばって生きる
約束する 約束するって言った
あたしのカラダはもう軽かった


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