喪に服す/朧月
 
斜めの方角からきた野心に貫かれて
私の正義は枯れてゆきました


たばこのぽい捨てなんて注意できる勇気はない
路上に捨てられた吸殻も拾えない
潔癖症の私にはふれることができない
自分で自分の手にふれても洗い流したくなり
自分の心の中も洗浄している

汚れたものを見たからいそがなくちゃと
瞳をとりだして窓から干す時間の確保に忙しい

隣の住人は朝から願い事をしている
その声がうるさくて私は神をころす
うちの神棚には神様はいない
私がとっくに捨ててしまったから
人々の願いを吸い込んでいる
汚れた神様なんて まつれないから
そんな風な思い込みに私は支配されている
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