ネグリ/真島正人
かつて見たことを撒き散らす
夜の遊覧船
僕は見ていた
幸先を試す
二人の老婆を
※
花だけを手折り
匂いにとらわれ
忘れてしまっていた
胞子状の軋轢
※
長い道のり
どこまでも続く
先の長いナイフ
※
とがっているものと
とがっていないもの
冷えているものと
冷えていないもの
熱しやすく
割れやすく
優しさには弱く
やたらと硬い汚物
※
君のマットのことを忘れていた
8月からそのままの稜線
※
仲が良かった二人が
必ずつがいになるとは
限らない
※
語っておいて良かったこと
語らないほう
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