ネグリ/真島正人
 
かつて見たことを撒き散らす
夜の遊覧船
僕は見ていた
幸先を試す
二人の老婆を



花だけを手折り
匂いにとらわれ
忘れてしまっていた
胞子状の軋轢



長い道のり
どこまでも続く
先の長いナイフ



とがっているものと
とがっていないもの
冷えているものと
冷えていないもの
熱しやすく
割れやすく
優しさには弱く
やたらと硬い汚物



君のマットのことを忘れていた
8月からそのままの稜線



仲が良かった二人が
必ずつがいになるとは
限らない



語っておいて良かったこと
語らないほう
[次のページ]
戻る   Point(3)