【批評祭参加作品】西瓜割りを見物する人の群れ(詩における批評の風景)/角田寿星
 

以前、作家の佐藤亜紀さんが『ユリイカ』で、批評とは西瓜割りみたいなもんだよ、という趣旨のことをちらっと書いていて、なるほどうまいことを言うもんだなあ、と思わず膝をたたいたことがあります。引用してみましょう。

  批評というものは往々にしてそういうものですが、どんなにうまく書いた
  としても相打ち、大抵は明後日の方向に落ちる作家や作品の影に切り付け、
  その切り付け方や明後日の方向の偏りによって批評家自身の自分でも気の
  付かない正体を語って終ります―だからこそ、西瓜割りを見物する愉快さ、
  とでも言いますか、なまじな小説より面白いわけですが。
         (『ユリ
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