【批評祭参加作品】好き勝手言わせて貰う【十年の、事実】/虹村 凌
日のこと明後日のこと、十年後のことも。
事態や状況がどうあれ、こうなっているはずだと、
当たるもんだと、
何処かで馬鹿笑いをしているもんだと。想像しながら歩いた。
この雨雲のはるか高みでは悠々と飛ぶ飛行機がいるもんだと。
僕は今でもよくよく思っているよ。いつかは皆と、
夜通し機内でひそひそ話をしたい。
ひょっとしたら今頃、
地上には僕らみたいなアホがいるかもな。とか、
その頃にはとっくに錆び付いているであろう
利根川に沈んでいる一台の自転車の話しを。
時折、押し殺せない声と混じりあいながら。
もしくは今日、僕らが競馬場で見た
老夫婦のように、車椅子に座る老婆の耳元に
[次のページ]
[グループ]
戻る 編 削 Point(2)