雑念の時間/朧月
になって
さよならしたんだって 思い知る
からっぽの右手は冷たいから
仕方なく缶コーヒー握らせる
電車のホーム階段から
ずっと離れて1番に乗る
そういえば追突したんだっけと
思いだしながら1番に乗る
座れるけれど 立ってるのは
目の前にだれにも立ってほしくないから
自分で選んで立ってるんだって
思っていたくて暗い外を見る
電車のドアがあいたとき
すれ違う人の目をみない
吸い込まれてしまいそうなトンネルに
光りを見つけたくて 涙しそうになる
地下鉄の階段はいつ昇っても
違う世界の入口を夢みさせる
同じ場所にかえる私は
道路にたつときいつも息を止める
目の前のビル暗い空に
霞んで影に隠れそうになってる
確かにいるはずの人たちの
温もりなんて感じない
私は 私だから
両手ポケットに収めたまま
歩いて帰る道のりは
昨日と今日と明日への
私なりの区切りだから
いっぽいっぽ歩く
大切に歩く
こんな風な雑多な想いたちを
砕いたり つないだりの
雑念の時間
戻る 編 削 Point(4)