うらやむ/朧月
 
うらやむという気持ちは
胸の内側がやけるような
足を小さな虫がはいずるような
そんな小さなほころびから始まる

うらやんで/憎しみになる

あれになりたい/真似になる

あれはちがう/歪める

胸の内側は焼け焦げて
足は占領されきって
腐りきった果実のような
腐敗臭が空へ蒸発してゆく

うらやましい うらやましい 
と胸をかきむしって焦がれる様は
冬の木にしがみついている蓑虫のように
ぶらぶらとうごめいて

指をくいちぎりながらあれぐらいと 
怒りに震える指でかきちらす/私の言の葉

何度よみかえしてもどこにも刻まれはしない
ただ 私の皮膚からにじみ出た模様

うらやむ
そんな炎のような気持ちを
心にたたきつけて 
私は指に心を浸透させる

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