夜の必要性について考えたこと/きりはらいをり
ゆうべ 私があんなに泣いたのに
月は何も言わない
ただちょっと 欠けただけ
こぼれた欠片がどこへ落ちたのだろうと
遥か異国の遠い海を
想っていると
必ず君は現れて
泣けとばかりに 笑うのだ
夜って
暗いのが 空なのか 私の部屋なのか
私にはわかりません
昼間 不必要に急ぎ続ける大人たちが
いたずらを叱られた子供のように
しゅんと 静まり返るのが
とても落ち着くのだけど
地球のここが
太陽の真裏をちょっと過ぎたくらいの
真夜中の終わりに
そっとベッドを抜け出してみた けど
この夜の中で
起きているのは 私だけじゃないんだ
つまんない。
みんな 眠っちゃえばいいのに!
夜の漆黒は安らかな眠りの為にあるのだと
昔 誰かが言っていた
みんな わからないのです
満ち足りた朝の為に夜があると
闇は
畏怖の対象などではないということを
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