エリクサー/真島正人
 
人間たちは死んで、人間ではなくなり
何か名前のつけられないものになる
人間は罪深いのだろうか
こんなにも
この世に迷ってしまう
ランプ灯かりと
写真のフィルムと
思い出の混ぜ合わされた聖水の前に
いつでも現れてしまう
向こう側の世界から
顔を歪ませて
指のひとつづつ、こちらの世界に出現する
ぼくの望まないいくつもの歪みと
整理された時間を伴って
部屋の中に入ってくる
彼等はぼくたち生きとしとしいけるものの何ものをも蹂躙しない
彼等が好み、性欲を感じ、馬乗りになって、あるいは騎乗位で、ありとあらゆる方法で持って、犯し貫くのは、
我々が時間と呼ぶ無形の文化、ただそれだ
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