エピデンス/真島正人
モノクロームの
夢を見た後は
必ず
部屋に月がぶら下がっている
月は
蛇みたいに
神秘的だと思う
胸の空白に
薄い風が吹いている
風で砂漠の砂が
少し飛ぶと
君の心に
届くかと
心配になる
砂塵が
錆びつかせてしまわないか?
月が
憂鬱な頭を
二日酔いにして癒す
そうだよな
こうして
大人になったから
同じようにして老けてゆくのだ
夜が更けるように
僕の頭の中も少しずつ
深い
闇の中に沈み
やがて思考は
思考でなくなる
夜の霧は
優しいと思う
世界は
もう少し整理されてもいいと思う
でも
僕の部屋は
月と
憧憬でいっぱい
いつか死んでしまうから
アルコールと
友人に助けられて
生きるのだ
生きるのだ
下唇をかみながら
血のにじまない程度に
甘くかみながら
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