世界朗読旅行・サンパウロ編/馬野ミキ
 
南米朗読旅行最後の夜 
ブラジル西大学での朗読を終えた俺は 
地元の学生詩人カルロスに案内されて 
サンパウロのとあるセックスバーにいた 
暗い店内にユーロビートのような音楽が大音量でかかっていた 
ユーロビートは世界共通なのか。 
裸の、あるいは裸に近い女たちが
ホールのあちこちに設けられた透明のプラスチックの巨大な筒のなかで
身体をくねらせたり尻を突き出したり
音楽にあわせて踊っていた
ミラーボールがあちこちでぐるぐる回転してて
それらは狂った惑星のようであった 
俺は案内されたソファーに素直に座った 
そしてそのまま後に倒れた 
俺はすでに酔い過ぎていた
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