遺跡/真島正人
舌足らずな声と
舌の麻痺した声と
酔いの回った声と
光る声と
舌の先に憂鬱を乗せた声と
舌の先で転がす欲情の声と
だらしのない生活
すべてが連結して
みなぎっている
血が騒いでいる
みんなで
どこかのレストランで食事をしていたときに
急にドアが開いて
軍楽隊が入ってくる。
トランペットが
ニューアントニオローゼス
を
演奏する
みんなぽかんと見ている
俺だけは可笑しくってほくそえんでいる
これが日々だ
これが川の流れだ
これがウォッカの中に沈んだ川
これがモルトの中に沈んだ川。
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