無機質ガラス/
りぃ
貴方が笑い
私が歌う
窓に映りこむ二人の姿に涙が出そうになる
目に浮かぶ涙を貴方が拭う振りをする
私は涙を自分で拭って貴方に触れようと手を伸ばす
歌いながら
貴方は苦笑しながら
触れられた筈の肌は
冷たくなっていた
触れようと伸ばした手は無機質なガラスに阻まれる
どちらとも無く寄せた唇の感触
貴方の温もりを感じた気がする
一瞬だけ
私がそう歌えば
貴方は消えてしまう
感じたはずの温もりは
私の体温に犯された
哀れなガラス
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