連続性に恐れをなして/真島正人
 
恋人よ
僕と君は
不確かな
連続性に恐れをなして
足の指先まで震えているのだ

髪の柔らかい幼子が
高い峠から降りてきて
彼の足元に
夕日の影が
せせら笑う

ビルの切れ端に
描きかけの画用紙がにじんで
僕と君も描きかけになる
君は読んだだろうか
僕がこっそりと書いた
君への詩を
書きかけのまま
ノートの隅で死んでいる

書きかけの詩は
黒人霊歌
黒人霊歌の真似事で
僕は本当の言葉を持たないし
君はのどが渇きすぎてそれどころじゃない

「ねぇ
聴いたかい
昨日
連続して並んだ家の
端から二番目の
野口さんの家で
小さな子犬が産まれた
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