ぼくらの町/オイタル
オレンジの灯りが点々とする
雪の祭りの
ぼくらの町
狭い歩道を歩く 婆三人
灰色のほおっかむりで
ひそひそと
植え込みの陰に
みかんの皮を押し込む
ぼくらの町
町から背の高い釣具屋が消え
半分しか開かない薬局はいつのまにか
透明な散髪屋に変わった
友達はすっかり弱くなった
つやのない雲が町を覆っていく
青空が百万歩 後退する
ぼくらの町
三角の土地に四角いアパート
銀色の水が指先のように円く流れ
時々歩く散歩道の
雑草の前で
ペットボトルの寝言を聞いてる
ぼくらの町
昼間
ハンドルを回しながら
生きる意味を考える
ぼくらの町
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