遺書/こしごえ
 
空の青さ
空の青さへ
手をふるの
今日も本当に有り難う
明かりがほそい手をさしのべてさそう
白い蛾の真夜中
死の淵を継ぐ者
ついに人知れず
種子を忘れることのない果実は
遠望する墓標をともし
つみとられることもなく
くらい静脈を
すすむ血流を
さかのぼる舟に乗ったうつろな亡霊を
照らし 宙へと微笑をうかべて、
私は
手をふりつづける
遠ざかる故に








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