あかいくちびる/こしごえ
しろい顔したぼくが
うつっている
写真の空に
雲ひとつなく
みんなは誰ひとり言葉を
もたず
ぼくだけが思い出を
録音している
星の表面から中心へ
引きよせられた
明日なんて 落下して紅い花咲いた
生まれたがっている
そのこもあのこも
どうしても
耳は
すべてを聴こうとして
明日なんて 落下して紅い花咲いて
そのこもあのこも
くちびるが紅くいろづく
いま、いま、いまを
黒くぬりつぶした空に
また ひとつ、また ひとつ、
星がまわり始めた
また ひとつ、はいちどきり
ひとつ、ひとつ、それぞれの花
つながれたぼくは
星を宿した
いくつも いくつも いくつもを
真ひるの青く澄んだ空へ
しろいちょうちょうの
舞い上がってゆく曲線が連なる
ここから外へは出られない
ぼくの黙秘
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