星に名前がついているわけ/小池房枝
星は知らないという
星にひとが名づけた名前があること
ではひとは知っているのだろうか
星にひとが名づけた名前があること
星に名前がついているわけ
幾通りもの答えがあっていい
たとえば
星に名前をつけたひとはきっと淋しかったのだと
そんな考え方でもいい
淋しくなかったひとなんていないだろうから
それはそれで間違いではないだろう
ただずいぶんと昔から/昔には
ひとは星に名前が必要だったのだということ
ひとつには
時刻と季節を知るために
もうひとつには
遠くまで行くために
見渡す限りの大海原あるいは
見渡す限りの砂の海を渡るためには
星は大切
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