The Beginning/瀬崎 虎彦
 
視神経が悲鳴を上げる
肺が酸性に降参する
皮膚の断面がずれてくる
もうピントが合わない背骨

ここからが始まりだとは
勝ち目のない戦争のような
この場所から始めるとは
どのような自殺行為か

書棚からすべての本を放り出す
愚かにもあり金をすべてつぎ込んだ
スカイラインで一路火星へ向かった

誰のためにもならないことを
必死でやっている俺の耳元で
スカイラインのエンジンが快楽の叫びを上げる
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