△6℃/atsuchan69
凍える戒厳令下の冬。
圧倒的な武力によって民を統治する狂信者が叫ぶ、
人民に必要なのは日常的な流血と惨事である
もはやパンの配給や馬鹿げた奇跡の捏造などではない
果てしなくつづく粛清による独裁政治なのだ、と
もはや劣性の種を生かす余裕は微塵もなく、
凄まじく全地に襲い掛かった自然の猛威に対し
未来は、けして少女が夢見るような奇麗事などではない
崇高で純粋なテロルによってしか
人々の営みを守ることは出来なかった
そして劣性種の棲む街で――
白い降下物が太陽光発電パネルを覆い
尚、幾日もライフラインは途絶えたままだったが
荒果てた庭で拾いあつめた廃材を燃や
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