The END/瀬崎 虎彦
 
鼓動はやすらぎをもとめるものに平安を与えない
耳の奥でいつまでも小さく鳴り続ける戒厳令
風が霧を吹き払えば一面に悪臭が充満した
エメラルドグリーンの湖水も美しくさえある

何をしていても何をみていてもどこにいても
変わらないものはこの映像と感触
背筋を伸ばして歩いてゆければいい
誰にも恥じることなく誰にも恥じることなく

僕を挫く僕を迎え撃つ僕を待ち伏せる僕を
倒れぬように撃ち抜かれぬように出し抜かれぬように
頬杖をついて窓辺からさすあの光たちを讃えよ

深紅辛苦不覚深く沈み彼女は僕の中にいる
濃い霧がまた立ち込めて葦原の向こうは
ふたたび悪臭が立ち込めているみたいだ
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