パナマの肉/瓜田タカヤ
し
意味がある気がしておののく
有頭エビは背わたをとり
足は鋏で切る
鳥は腹の中を流水で洗い
皮にフォークで穴をあける
蠅はリボンに張り付き
バイブレイターのような低音を鳴らす
産卵の圧力で
女がどこかへ移動するのを追う
乱雑な線が何十本も引かれ
場所と脳髄を合成するが
徐々に油膜が染みいるだけで
幼児の手遊びに背筋も凍る
欲望だけをつよく抱きしめる
純粋な琥珀色の欲望をだきしめて
首飾りにしてみにつける
知り合いなど元々誰もいない
パイプからあふれる廃液が地面を濡らし
だれも知り合いなどいない
処理場のにごった空中が鶏の肉等を
散らかし吸い込む喘息息が
滑稽な振動背中を振るわす
かじり肉を知る肉汁こぼれ落ちる一滴のこぼれ
太陽の木漏れが女を象りビスケットのにおいで充満する
かけらのみで人をあやめて
でんぐり返る
私たちは同時に跳躍できぬ
だけの一つの肉
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