【140字小説】青猫他/三州生桑
【青猫】
夜がふらりとやって来た。ポケットに一杯の子猫をつめ込んで。「どいつもこいつも元気だぜ。安くしとくよ!」小さな青猫を手に載せてみる。三百円だと夜は言った。「青猫はいい匂ひがするよ」さう言ふと、夜はふらりと帰って行った。手のひらの上で青猫があくびをすると、ほんのりと薄荷の香りがした。
【一年ひと昔】
年末年始はツイッター三昧かな。去年は何をしてたっけ。ツイッターの存在すら知らなかった。十年ひと昔とは言ふけれど、ネットの流行り物なんて一年ひと昔だ。光陰矢の如し。今年バージンだった娘が、年が明ければ援交し始める。よくある話。行く川の流れは絶えずして…。「ねえ三万円よ」「はいはい」
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