決別/朧月
背中さすっているうちに
うとうとするような
物語の子供にあこがれて
クリスマスにはシャンパンを
抜く音にこわがってみたかった
あの日落としたすいかは
私の腕に重くて まっぷたつに割れた
地面にちらばった
赤に黒の斑点が おそろしいもののように
目にやきついた
帰り道をわすれてしまいたいと
何度も願ったのについた瞬間を
今もおぼえている
すいかの赤 種の黒 母の黒目
そのどれもが 私の夏
もうあがりなさいと
海辺でいわれる
そんな本を読み漁った
あの頃の私は もういない
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