走馬灯/あみ
 
った。
「こんなふうに出会ってしまうと、今までのものがなくなってしまう」


それは私たちのせいでもあるのだろうけど
きっと、それだけではないんだと。




今年、ずっと見れなかった東大寺の燈花会に行った。
奈良公園のあちこちに、ろうそくがひしめきあっていて、
私はその橙の天の川の始まりに立ち、友達の存在をすっかり忘れ、見入っていた。
このたくさんの迎え火に迎えられ、15日、送り火に送り届けられる。


ずっと待っていたような気がする。
迎えに来てくれることを。
あたたかな光で、視界をいっぱいにして。




記憶の上書きが出来ないでいる。
出来事は、順を辿らずに、まるで写真のように切り取られて溜まるだけだ。



わたしは、いつからか長い走馬灯の中にいる。





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