みなしごたちの夜/瀬崎 虎彦
倉に頭をつかえ
首に帯を絡ませたまま
死産してくる
子供
子供
子供たち
沢山の死産する
死んで生まれてくる
子供たち
首に帯を絡ませて
赤い口をひらめかせて
笑いながら
生まれ
笑いながら
死産される
子供たち
夥しい数の
死産される
子供たち
回転しながら
この地表に現れる
夥しい数の
死産される
赤い口の
子供たち
目を見開いて
赤い口を見せて
笑いながら
死産される
子供たち
それから目を閉じて
回転することをやめるがいい
一時に足を止めた
不気味な
不細工な
不恰好な子供たちは
耳の手前まで大きく赤い口を広げ
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