Dear Girl 茜の空/あぐり
 
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*ちりちりと揺れてる空の片隅へ 帰るきみは恋も知らない*




イヤフォンをして
黒板に鼓膜の言葉を連ねていた
うっすらと覆い被さる、夕焼けは恋人の色だった
頬杖をついてるきみの髪の
その小さなうねりにあどけなさを見つけて
(わたしたちまだこどもだよね。)

真っ白な文字が染まって
ひとつ ひとつの歌がほどけていく
きみがなにか囁いてもいいように
埋めているのは左耳だけだよ
零したきみの真ん中に広がるみずの成分は
多分、明日になったらほんの少し
薄い苦みが増えるんだと思う
(色は青みを失うのだと思う。)


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