首のゆくえ/藪木二郎
 
 首なし騎士が抱えているのは
 本当に
 彼の首か
 いや違う
 あれは彼の敵の首だ
 彼自身の首がないのは
 それは彼の
 狡猾さだ

 いやいや
 あれはあくまで
 彼の首ですよ
 弁証法ってのはそんなもんです

 いや違う
 敵のだ

 そうですね
 彼は形而上学から逃れられない
 あるいは彼には
 すべてがテクストだってことが
 解ってないのかもしれないなあ
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