夜か林檎か爪楊枝/
智哉
せっかくなんだからこんな日は
季節感のある詩を詠みなさいと
誰かが言ったけれど
僕が詠みたいと魅かれたものは
親戚のおばさんがくれた林檎
たいていは縦にぱっくりと切るところを
横にバッサリと切ってみた
見事な蜜がまるで星のような形に詰まっていた
本来なら皮をむくところだが
あまりに綺麗だったから
僕はそのままかじり付いた
皮がパキンと破れ歯の隙間に挟まった
あらら
次は爪楊枝との格闘でも
詠んでみようか
せっかくなんだから
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