あなたにここにいてほしい/真島正人
 


僕はあなたに
亡霊であり
生ものであり
影であり
車であり
スプーンであり
無垢の造型であることを
求める

あなたにここにいてほしい

日々
僕は
あなたになってゆく
そのことがとても
もどかしい



あなたにここにいてほしい
亡霊のように
影のように
ケーキの下地のパンのように
ただここにいてほしい
あなたがはなれてゆくと
僕は半分崩壊する
そしてぼくは
心もとないままで
生きてゆく

やがて僕はあなたをわすれる
乳房のこと
肌のこと
目のこと
声のこと
乳房から出ていたミルクは
すでにもうほとんど
忘れ
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