姉/朧月
なんで泣いてんの
と 姉がきく
ずけずけと 真っ直ぐに見つめて
あのときもそうだった
私をみて 手をふった姉がいた
特殊クラスって言葉の意味が
わかりはじめた頃の
私には はずかしいという気持ちが芽生えていた
そのことが恥ずべきと知らずに
泣かんときやと
ぎゅっと握ってくれた
太い指が がさがさして ちっとも柔らかくない
なのに心が 目が
優しすぎて 過去も全部 ごめん
自分が生まれた意味が
ほかにあるような気がして
周りにとげをつきたてては 泣かせたのに
今 泣いている私の前に
どんなことをしたって
守るといいたげな 姉がいる
私より先に生まれてくれてありがとう
言えないから
泣いてない 泣かないって
言った
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