意気地/笠原 ちひろ
 
枷のひとつやふたつ
あったっていい


どうしようもないと
歯噛みして
ひっかいて
爪たてて

ひきちぎろうと
躯を震わせ
全身で
もがいてもがいて
逃れようとして

それでも
どうにもならなく、


(白く荒く)
(息切れして)



そんな
この世の枷の
ひとつ

ふたつ



…あったっていいよ


どうせなら
抱きしめて

笑って色香に変えてやるさ




戻る   Point(6)