もう80年以上経つが/井岡護
 
皺だらけの制服が慌てて機械に手をかけ男性が隣の河に歩いていこうとするのを見てより向こう側へと押しやろうとするが既に警告音は脚に見えるくらいにまではっきりと その手にした構造には蛇や削岩機が練り付けられていた 当然さがそこにいる全員の判断に切り込まれていた男は手を脚の代わりに差し出すと後ろを向き目の前の正確には手を脚の代わりに差し出す直前まで背後であった目の前であるが男にとって具体化あるいは擬音化された警告が背筋に成り代わってしまう何かのように思われたのかもしれないそう言った事はどうでもよかったのだ 階段はまるで空を割ってしまったかのように巨大な酸漿に横たわっていたその重さに耐えられる筈も無くその植
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