足踊りを見ながら/kauzak
お囃子が始まる
和太鼓/篠笛/摺鉦が
絡み合って
今日は表彰式のアトラクション
小さなホールに響く音は
ことのほか大きく力強い
お囃子の調子に乗って
繰り広げられる足踊りは
艶めかしく猥雑なはずなのに
集まった人たちは
笑いもせず拍手もせず
ただジッと真剣に見ている
いつの間にか伝統芸能という
高尚な芸術に祀り上げられてしまった
村祭りの見世物だった足踊り
扇と傘も巧みに使って
足と手で演じられる
男女の秘め事
その巧みな操作にさえ
どこで拍手をしたらいいのか
タイミングが取れないようで
取れないから拍手をしない
そんな僕のような
自意識過剰な人ばかりみたいで
何だか悲しくなって
自分が情けなくなって
ただ踊りの見事な技術と
素朴で大らかな猥雑さが
救いだった
戻る 編 削 Point(8)