足踊りを見ながら/kauzak
 
お囃子が始まる
和太鼓/篠笛/摺鉦が
絡み合って

今日は表彰式のアトラクション
小さなホールに響く音は
ことのほか大きく力強い

お囃子の調子に乗って
繰り広げられる足踊りは
艶めかしく猥雑なはずなのに

集まった人たちは
笑いもせず拍手もせず
ただジッと真剣に見ている

いつの間にか伝統芸能という
高尚な芸術に祀り上げられてしまった
村祭りの見世物だった足踊り

扇と傘も巧みに使って
足と手で演じられる
男女の秘め事

その巧みな操作にさえ
どこで拍手をしたらいいのか
タイミングが取れないようで

取れないから拍手をしない
そんな僕のような
自意識過剰な人ばかりみたいで

何だか悲しくなって
自分が情けなくなって

ただ踊りの見事な技術と
素朴で大らかな猥雑さが
救いだった
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