団地/haniwa
 
今日も一日正しく回ったね、世界

くたびれかけた黒い革靴に
青とオレンジの夕暮れが映る
帰れる場所があって、ありつける夕飯がある
好いてくれる人はいないけど、誰も嫌ってもいない
それはとてもしあわせなことなんだよ、君

たった三年前に君が乗っていた黄色いクーペは
今はどこか中央アジアの路肩で
砂にまみれながら
オイルを欲しがっていたとしても

綺麗に固められた赤レンガの歩道を
丁寧にゆっくりと歩く
ある日、体の中から詩が消えてしまった
その日のことを思い出そうとするように
その悲しみを思い出そうとするように

明かりの灯り始めたコンクリートの箱の口元で
足音
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