常設されない夜/Shaka
 


  *1
宛先の無い便りがポストを探して彷徨っている
剥がれたかけた切手の刻印は遠い町の名が記されている
色褪せた封筒は数え切れない程の皺と手垢にまみれている
同封された写真には笑顔が二つ並んでいた
きっと長い旅に疲れてしまったのだろう
解けた封印が
旅の終わりを暗示している

夜はまだ始まったばかり



  *2
女は昔、時計回りに夢を並べながら枕を抱いて星を探していた
今は和みを懐きながら時計の針を逆に回している
少年は旅の行く先を南十字星の向こうに求め船出した
振り出しが目指す場所だと気づく頃に
旅を知り大人になる
足下に在る物が見えず更に遠く
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