名付けてしまう/あぐり
い
それでもからだを愛そうとこころみる
歪んでいく視界で睨みつけて文字を生み出す
産んで産んで
誰かがきっとこの言葉達の名付け親になってくれて
いつもわたしが流すものの名付けはあなたがしてくれて
それを意味がないなんて言えるほどに一人では生きられない弱虫で
産んで産んで
ほんとうはわたしも
名前を考えているんだ
世界でいちばんに
うつくしい名前を考えているんだ
なんでだろうかものすごくかなしくなって
夢みたいな昨日を思い出すだけの機械になろうとこころみる
ぼんやりと右手、左手の間を眺めて
画面右端の時計を見やる
また今日も終わって昨日になったことを知り
夢にならない明日を埋めていくだけのいきものになろうとこころみる
なまえ、
なまえ、
ゆるりとしのびこんできたかなしみにつけるなまえ
ほらまた、
産んでしまった
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